Part3

EONチューニング編その1

このページはAbu Garcia ambassadeur®EON SPORT 3601のキャストコントロール機構のトゥルーチューンについて書かれています。

内容には各パーツの役割など記載されていますが、あくまで私見であり、チューンの結果について保証するものではありません。


1)メカニカルブレーキの仕組みを知る

まずはこのリールについてメカニカルブレーキ(以下メカブレーキと略記)の仕組みを解説します。これがわかると作動不良の理由やチューン方法が見えてくることでしょう。左下の写真がメカブレーキ調整に直接かかわるパーツ群です。

 

A)メカブレーキダイヤル

この先端にある小さく硬いスプリングが、スプールの回転を制動する摩擦の強さを決定します。こいつはハンドルのセンターに位置し、いつもグルグル回されていることに注目。回転するハンドル軸ですから、軸方向には多少なりとも遊びがあるはずですよね。これも不安要素。

B)スプールシャフト

これのハンドル側先端がメカブレーキダイヤルのスプリングに押されます。ダイヤルを締め込むほど強く押される仕組みですね。このスプールシャフトは一連の「ウルトラキャストデザイン」そのもの。シャフトが回転するのではなく、スプール内にあるベアリングによってスプールが回転する仕組みです。

このシャフトは、自分自身が回転する必要性はありませんが、グルグル回るハンドルシャフトに貫通していることに注目。(左図参照)

C)スプールシャフト(遠心ブレーキ側先端)

遠心ブレーキ側シャフトの先端がサイドプレートにあるD(画像1参照)のブラス製ブッシュにはまります。

このブッシュはスプールの遠心ブレーキ側、左図の「ここ」にあるプラスチックのパーツとの間で摩擦を生じ、これがすなわちメカブレーキの強さとなります。

スプールシャフトはこのブラスブッシュとハンドルシャフトその物で支えられていることになります。 穴の開いたハンドルシャフトがスプール軸の支え兼用という前代未聞、野心的デザインなわけです。

 

画像1
 

2)なぜメカブレーキの調整値が不安定になるのか?

上で揚げたような構造ですから、ちょっと考えればメカブレーキの設定が安定しているよしもありません。様々なメカ的「遊び(クリアランスの意)」の上に成り立っているブレーキメカと言わざるを得ません。「遊び」を利用した設計の場合、各所がスムースに遊ばないと本来の「逃げ」がなくなり、あらぬところが固着して意図しない働きをすることがあります。

サイドプレート上のブラス製ブッシュ

私のEONを例に取ると、サイドプレート上のブラス製ブッシュが、けっこう強く「スプールシャフトをつかんでしまう」ことが調整不良の最大の原因だったようです。このパーツは決してスプールシャフトをしっかりつかんではならず、シャフトはミクロン単位ではあってもブラス製ブッシュからスムースに出入りできないとダメなはずです。

実際の症状で言えば、メカブレーキダイヤルをある程度締め込んでから、それをまったく同じ分量緩めても元の強さに戻らず、固いままであるといった状態です。

そこで元の強さに戻そうとすると、ブレーキダイヤルを更に緩める・・ところが、スプールシャフトをつかんでいたブラス製ブッシュが何かの拍子でスプールシャフトを開放すると、ドーンと緩んでしまう。知らずにキャストして大バックラッシュ。

ハンドルシャフトVSスプールシャフト

他、「ハンドルシャフトVSそこを貫通するスプールシャフト」で、スプールシャフトの軸方向への動きがかなりぎくしゃくし、メカブレーキダイヤルの回転によるブレーキ圧変化がサイドプレートのブラス製ブッシュにまでうまく伝搬しないことがありげです。これは特におろしたてのEONで発生しやすく、私のようにスプールをシャフトごとアッセン交換した場合にも起こりやすいようです。これはハンドルの回転により、少し使えば自然な研磨(摩耗)によって適度なクリアランスが発生して解決するようですが、それに達するまでに「使えないマシン」として本体ごとお蔵入り可能性もありそうです。

 

ここまで読んで、少しでもこのマシンをましな状態にしようという方は続きをお読みください。

     

 



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